アダルトサイトからの料金請求トラブルの解決策を解説

2023年10月10日
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アダルトサイトからの料金請求トラブルの解決策を解説

東大阪市のホームページでは「アダルト情報サイトについて」と題してトラブルの相談事例が掲載されています。具体的には、「いつの間にかアダルトサイトに誘導されて、年齢確認ボタンをクリックしただけで料金を請求された」「退会処理のボタンを押すと、業者から『支払わなければ親や学校に言うぞ』と脅された」といった事例が紹介されています。

通常、いきなりお金を請求されれば誰でも怪しんで警戒するものです。ただし、アダルトサイトに関する料金請求については「恥ずかしい」「家族に知られたくない」といった理由でお金を支払ってしまう方が多くおられます。しかし、いちどお金を支払ってしまうとさらなる不正な請求を受けてしまい、トラブルが深刻化するおそれがあるのです。

本コラムでは、アダルトサイトからの料金請求に関するトラブルの解決策について、ベリーベスト法律事務所 東大阪布施オフィスの弁護士が解説します。

1、アダルトサイトにアクセスしてお金を請求された! まずどうすればいい?

興味本位でアダルトサイトにアクセスして、「無料」と表示されていたのに動画再生のボタンや年齢確認のボタンをクリックすると料金を請求される、といったトラブルは多々起こっています。
以下では、インターネットをしているときにいきなりお金を請求されたときに取るべき対応を解説します。

  1. (1)表示されている電話番号やアドレスには連絡しない

    「退会希望の方はこちら」「誤ってクリックした方はこちらへ連絡を」といった表示が出ることがありますが、表示されている電話番号やメールアドレスに連絡してはいけません。
    連絡してしまうと、「契約を確認するので、名前・住所・連絡先を教えてください」などと質問されることになってしまいます。

    サイト内のボタンをクリックしただけでは、相手にはあなたを特定する情報は送られていません
    また「あなたの端末の個体識別番号(IMEI)は〇〇〇〇です」などと表示されることもありますが、個体識別番号は通信の際に自動でやり取りされるもので個人を特定する情報は含まれていないので、心配しないようにしましょう。

    表示されている電話番号やメールアドレスに連絡を取ってしまうと、わざわざ自分から個人情報を伝えてしまうことになります。
    お金を支払っても「ほかにもサイト利用料の未払いがある」などと別の詐欺被害に発展するケースも多いため、「相手にしない」という心構えが大切です

  2. (2)連絡してしまったら着信拒否やアドレス変更を

    もし、すでに電話やメールで連絡を取ってしまった場合には、相手の電話番号からの着信拒否や電話番号とメールアドレスの変更を検討しましょう。

    放置しておいても相手にしなければとくに問題はありませんが、仕事中に電話が鳴ってきたり、しつこくメールが送られてきたりすれば家族など周囲の人にトラブルが知られてしまう可能性があります
    また、精神的な負担を予防するためにも、相手からの連絡手段は絶ったほうがよいでしょう。

2、入会したつもりがなくてもお金を払う義務はあるのか?

国民生活センターによると「無料だと思ってクリックしたら勝手に会員登録されて料金を請求された」「料金請求の画面が消えない」といったワンクリック詐欺の相談は、令和4年の一年間で7758件も寄せられていました。
そして、国民生活センターに寄せられる相談の多くは「お金を支払う義務はあるのか?」という疑問に関するものです。
しかし、ワンクリック詐欺の被害に遭っても、お金を支払う義務はないのです

この点は「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律(通称:電子消費者契約法)」の規定が関係します。
そもそも、民法は「錯誤」による契約を無効としていますが、消費者側にうっかりミスなどの重大な過失がある場合は取り消しが認められません。
そこで、電子消費者契約法では、消費者が契約に申し込みや承諾の意思をもっていなかったのに誤って入会や申し込みなどのボタンを押してしまったときにも取り消しが認められると定められているのです。

詐欺業者は「注意事項を見落としたほうが悪い」「契約は取り消せない」などの言い訳をしてくるでしょうが、お金を支払う必要はないので、請求を受けても無視してください
契約に関する注意事項が入会・申し込みなどのボタンよりもずっと下のほうに隠されていたり、通常では見落とすほど小さな文字で表示されていたりといった場合も同じです。
たとえページ内に注意事項が表示されていても、消費者側がその内容を十分に確認できないような場合は、お金を支払う必要はないのです。

3、アダルトサイトに関するトラブルを相談できる窓口

アダルトサイトに関するトラブルについては、「恥ずかしい」という思いから身の回りの人に相談しにくいという特徴があります。
しかし、自分ひとりで解決を目指していると、わからないことがあって「本当にこの対応で正しいのだろうか」と疑問を抱いてしまい、不安が解消されないおそれがあるでしょう。
以下では、アダルトサイトに関するトラブルに詳しい窓口を紹介します。

  1. (1)最寄りの消費生活センター

    アダルトサイトに関するトラブルは、各自治体に設置されている消費生活センターで相談できます。
    東大阪市に在住の方なら、東大阪市立消費生活センターの窓口を訪ねましょう。

    消費生活センターでは、アダルトサイトの利用などをはじめとした各種の消費者トラブルについて、情報を提供したり、解決に向けたアドバイスをくれたりします。
    窓口を訪ねるのではなく、全国どこからでも市外局番なしの188でつながる「消費者ホットライン」からの相談も可能です
    消費者ホットラインに電話をかけると、基本的には最寄りの消費生活センターに、消費生活センターが対応できないときは国民生活センターにつながり、窓口を訪ねたときと同じように情報提供やアドバイスを受けられます。

    「誰かに相談したい」「お金を支払わなくてはいけないのか不安」といった悩みをスピーディーに解決するにはとても便利な相談窓口ですが、詐欺の手口のなかには消費生活センターをかたってお金をだまし取ろうとするケースもあることに注意してください。
    消費生活センターに相談する際は、自分で窓口を訪ねるか、消費者ホットライン188を利用する、あるいは自治体のホームページから電話番号を調べるなど、安全を確認したうえで利用しましょう。

  2. (2)管轄の警察

    ワンクリック詐欺は、刑法に照らすと「詐欺罪」にあたります。
    詐欺だと見破ったり、本当にお金を支払う必要があるのかわからず迷っている段階であったりしても詐欺未遂として処罰の対象になるので、お住まいの地域を管轄する警察に相談するのもよいでしょう。

    警察では、事件として取り扱って捜査を進めるだけでなく、とくに金銭的な被害が発生していなくても相手が掲載している電話番号やメールアドレスなどを全国で共有して通信会社に解約を求めたり、指定された振込先の口座の凍結を申し入れたりしています。
    警察からの要請で金融機関が口座凍結を実施すれば「振り込め詐欺救済法」による被害金の分配を受けられる可能性があるため、すでにお金を支払ってしまっている場合は警察への相談を急いだほうがよいでしょう

  3. (3)消費者トラブルに詳しい弁護士

    入会したつもりがないのにアダルトサイト業者から料金請求を受けて困っている、「焦ってお金を支払ってしまったが利用を申し込んだ意思はないのでお金を取り返したい」といったお悩みがあるなら、消費者トラブルに詳しい弁護士への相談をおすすめします。

    弁護士は、消費者を保護するための法律を知り尽くしているので、誤って入会ボタンをクリックしてしまい料金請求を受けている場合の対応について、法律の定めにもとづいた適切なアドバイスが得られます
    「業者からしつこく請求を受けており対応に困っている」「業者に対して返金を求めたい」といった場合でも、弁護士が代理人となり業者と話し合いを進めて解決するため、精神的な負担も解消されるでしょう。

4、支払いを促す画面が消えないときの対処法

ワンクリック詐欺のなかには、パソコンやスマホの画面上に「支払期日まで〇時間〇分」「料金を支払わなければこの表示は消えません」といったメッセージを画面に張り付かせて常に表示させる手口があります。
スマホやパソコンに不正なプログラムを仕込んで不安をあおるメッセージを表示させ続けたうえで「消去するには料金の支払いが必要」などとうそをついてお金を支払わせるのが狙いです。

以下では、支払いを促す画面が消えないときの対処法を解説します。

  1. (1)ウイルスなど悪意のあるプログラムに感染していないかを確認する

    まずは、パソコン・スマホがコンピューターウイルスやマルウェアといった悪意のあるプログラムに感染させられていないかを確認しましょう。
    セキュリティーソフトを導入していない場合は新たに導入したり、すでに導入済みなら最新のパッチに更新したりすることで、悪意のあるプログラムを検知・削除してくれます。

    また、悪意のあるプログラムに感染していると、パソコン・スマホから個人情報やクレジットカード情報などが抜き取られてしまう危険があります
    とくにワンクリック詐欺の被害に遭ったときは、お金を支払ったかどうかにかかわらず、セキュリティーソフトでチェックするように心がけてください。

  2. (2)パソコン・スマホからメッセージを消す方法

    パソコンの画面からメッセージが消えない場合は、閲覧中のインターネットブラウザを閉じるだけで解消されます。
    通常は「×」をクリックするだけでブラウザを閉じられますが、メッセージが邪魔で消せない場合は「Alt+F4」のショートカットで閉じるか、または「Ctrl+Alt+Delete」でタスクマネージャーを起動してブラウザソフトを選択し「タスクの終了」をクリックすればブラウザが閉じます。

    これでも消せない場合は「システムの復元」を利用してメッセージが消えなくなったときよりも以前の状態に戻すか、初期化によって工場出荷の状態に戻すことで解消できる可能性があります。
    システムの復元や初期化は、大切なデータを失うことにもつながるので、日ごろから安全ではないサイトへのアクセスは控えるように心がけてください。

    スマホの画面からメッセージが消えない場合も、基本的な考え方は同じです。
    SafariやGoogle Chromeなどのブラウザソフトで「タブを閉じる」を選択すれば、メッセージを削除できます。
    タブを閉じても消えない場合は、バックアップからトラブルが起きる前の状態に復元してください。
    スマホには連絡先だけでなくクレジットカード情報などの大切な情報も記録されているので定期的にバックアップを取るようにしておきましょう。

5、まとめ

アダルトサイトにアクセスして動画の再生ボタンや年齢確認ボタンなどをクリックしただけでいきなり料金の支払いを求められる手口は「ワンクリック詐欺」と呼ばれます。
詐欺であるため、実際にサービスを利用する意思をもって申し込みをしない限り、お金を請求されても支払う義務はありません。

ワンクリック詐欺への基本的な対処法は「放置」です
しかし、詐欺業者はいかにも正しいような理由をつけてお金の支払いを求めてきたり、パソコンやスマホの画面からメッセージが消えないようにして不安をあおったりしてくるので、ひとりで対応していると迷ってしまうこともあります。

ワンクリック詐欺に関するお悩みや悪質な詐欺業者からお金を取り返したいなどの希望があるなら、ベリーベスト法律事務所にご相談ください
消費者トラブルの解決実績を豊富にもつ弁護士が、法的な立場から適切な対処法をアドバイスします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています