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【前編】相続で慌てないための時効や期限の知識を弁護士が解説

2021年02月22日
  • 遺産を受け取る方
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【前編】相続で慌てないための時効や期限の知識を弁護士が解説

長年連絡もとっていなかった親族から、あなたが相続人になっているという知らせが届いたら場合、どうしたらよいのでしょうか。

この場合、事情がよく分からないまま相続人となれば、借金や保証人の地位を引き継いだり、築年数の古い不動産を相続して多額の解体費用を請求されたりするなど、トラブルに巻き込まれる可能性もあるかもしれません。また、多額の相続財産があるにもかかわらず、相続財産はわずかしかないと言ってだまされ、不利な遺産分割に合意させられるということもあり得ます。

平成30年は大阪府内で約8万9400人の方が亡くなっています。
相続は、あまり考えたくないことかもしれませんが、いつ降りかかってきてもおかしくない問題です。

この記事では、「知らなかった」では済まされない、相続に関するルールや期限、時効について、弁護士が解説します。

1、相続の流れ

まず相続の大まかな流れから解説します。
なお相続では、亡くなった方を「被相続人」、相続を受ける地位にある方を「相続人」といいます。あなたの父が亡くなってあなたが相続を受ける場合、父を「被相続人」といい、あなたを「相続人」ということになります。

  1. (1)相続財産の確定

    まずは、相続の対象となる財産や借金などの債務について正確に把握することが必要です。
    借金の保証人になっている場合も相続の対象になりますので、契約書類などもくまなく調べる必要があります。具体的には、被相続人名義の預金の有無、株式、証券の有無、不動産の有無などを調べることになるでしょう。

  2. (2)遺言書がある場合

    遺言書がある場合は、遺産は遺言の内容どおりに相続されるのが原則です。遺言書の有無については、遺言が公正証書遺言でなされている場合、公証役場への問い合わせができますので確認してみることが良いです。

    なお、遺言が公正証書によってなされた場合でなく、封筒に入った遺言書が発見された場合、勝手に開封することはできません。家庭裁判所で検認という手続により開封する必要があり、遺言の内容を知るまで1か月程度の期間がかかります。

  3. (3)法定相続の場合

    遺言書がない場合や、遺言書により遺産分割の具体的な方法が指定されていない財産がある場合は、民法の定めや遺産分割協議により、相続人と相続割合、具体的な相続財産が決まります(法定相続)。

    法定相続では、配偶者が半分以上を相続し、その残りを被相続人の①子ども、②親(直系尊属)、③きょうだい(被相続人の兄弟姉妹)のいずれかで、均等に分け合うことになります(法定相続人)
    相続の割合と相続人となる順位は表のとおりです。

    法定相続人
    (かっこ内は被相続人より先に死亡している場合)
    法定相続人の相続割合 配偶者の相続割合
    第1順位 子(※孫) 2分の1 2分の1
    第2順位 親(※祖父母) 3分の1 3分の2
    第3順位 きょうだい(※おい・めい) 4分の1 4分の3

    1. ※孫や祖父母、おい・めいが相続する場合ですが、これは、相続開始時に子や親、きょうだいが死亡していた場合に相続順位が与えられます。

    たとえば、あなたの父が死亡して相続が開始したとします。あなたは相続人になりますが、あなたの父が死亡した時点ですでにあなたは死亡していたとします。そして、あなたに子ともがいた場合、あなたの子どもはあなたが相続したであろう相続分に応じて相続することになります。

    祖父母についても同じで、たとえば、あなたが死亡して相続が開始したとします。あなたには子どもも孫もいません。この場合、あなたの親に相続順位が与えられます。そして、あなたの親が、あなたが死亡した時点ですでに死亡していた場合、あなたの祖父母があなたの親が相続したであろう相続分に応じて相続することになります。

  4. (4)遺産分割協議

    遺言書により相続方法が指定されていない財産は、法定相続人で次のように遺産を分割します。

    ● 貸金などの債権
    被相続人の貸付金などの金銭債権は、相続の開始と同時に法定相続分に応じて当然に相続します

    「当然に相続」とは、遺産分割協議を経ずにという意味あいが込められています。
    なお、遺産分割協議によって、特定の相続人が相続すると取り決めることも可能です。つまり、遺産分割協議を経ずに当然に法定相続分に応じて相続することもできますし、遺産分割協議により特定の相続人が相続することも可能なのです。

    金銭債権について注意しなければならないものは、預貯金債権です。つまり、銀行やゆうちょ銀行に預けた預貯金のことです。実務上もこれらの遺産が存することがよく想定されますが、預貯金債権については、金銭債権でありながら、「当然に相続分に応じて相続」するものではなく、遺産分割協議を経て相続しなければなりません。具体的には、相続人が自己の相続割合に応じて勝手に銀行から預金を下ろすことはできず、遺産分割協議を経てその協議内容に基づいて預金を下ろさなければならないのです。

    ただし、これにはさらに例外があり、預貯金債権額の3分の1に自己の相続割合の額を乗じた金額については、単独で権利行使をすることができます(もっとも、この場合でも1金融機関から150万円を超えて権利行使はできません)。

    具体的には、Aが死亡し、BとCが各2分の1ずつ相続したとします。Aには150万円の預金があった場合、Bは、150万円の3分の1の50万円、50万円の2分の1の25万円を単独で引き下ろすことが可能なのです。

    これは、改正民法(令和元年7月1日施行)により創設された新しい制度であり、遺産分割協議のめどが立たない場合に一時的に金銭を得る方法としては有効な手段と言えるでしょう。

    ● 借金や保証人としての債務
    住宅ローンなどの借金についても、同様に法定相続分に応じて当然に債務を引き継ぐことになります。なお、誰が債務を引き継ぐのかは、遺言や相続人間の協議で決めることはできません。なお、相続放棄をした者は、もちろん債務を引き継ぎません。

    ● 不動産や自動車などの動産、現金、預貯金、有価証券(株式、国債、社債など)
    相続人全員で具体的な分割方法を話し合って決める必要があります(遺産分割協議)。
    遺産分割協議が成立するまでの間は、法定相続分に従って共有している状態が続きます。

  5. (5)名義変更

    遺産分割協議で合意がまとまれば、遺産分割協議書を作成するのが一般的です。

    不動産であれば相続登記、預貯金や有価証券であれば金融機関での名義変更手続きを行いますが、同手続には遺産分割協議が成立した証拠として、遺産分割協議書が必要となります。遺産分割協議書は、登記官や銀行等に対して対外的に権利変動を生ぜしめる根拠となる書類となりますので、実印で押印する必要があります。

  6. (6)相続税・贈与税の申告

    一定金額以上の相続や遺言書による遺贈を受けた場合は、相続税や贈与税を納める必要があります。

    税制については頻繁に法改正が行われますので、最新の情報で申告や納税の要否を確認する必要があります

    一例として、令和2年12月7日現在では、父が死亡し、妻と子ども2人が相続した場合、4800万円までの財産を相続する場合は相続税の税負担はありません(基礎控除が3000万円+相続人数×600万円)。平成27年前ですと、上記の例で8000万円までの財産を相続する場合は相続税の税負担はありませんでした(基礎控除が5000万円+相続人数×1000万円)。両者を比較すると、相続にまつわる税制度が大きく変わることがイメージできるでしょう。

2、相続にまつわる時効・期限

相続となると、故人の関係者がさまざまな思惑をもって、相続の手続に関わってきます。

相続を円滑に進めるため、相続の各場面において権利の行使や義務の履行をすべき時効や期限が定められています。
まず、時効や期限を理解するにあたって、おさえておきたいポイントを解説します。

  1. (1)「時効」と「期限」の違い

    期限とは、言葉のイメージのとおりで、公的機関などで手続きをするべき最終日という意味です。期限を徒過すると、その手続きを利用できなくなったり、ペナルティーを受けたりすることがあります。

    時効とは、一定期間権利を行使しなかった場合、相手方が時効期間の経過を理由に権利行使の主張を拒むことができる権利をいいます。なお、権利を行使する意思を伝えたり、裁判を起こしたりした場合は、時効の期間が延長したり更新されることもあります。

  2. (2)「相続の開始」とは

    相続は被相続人が亡くなった時から開始します(民法882条)。多くの場合は、医師が亡くなったことを確認し、死亡診断書に記載される日時によって客観的に定まります。

    なお、次のような場合には、法律上亡くなったものとみなされ、相続が開始します。

    • 行方不明により生死不明となって7年が経過した場合(民法30条1項)
    • 災害などにより生死不明となって災害がやんで1年が経過した場合(民法30条2項)
    • 火災などに巻き込まれて亡くなったことが明らかな場合(戸籍法89条)


    なお、上記のうち、行方不明により生死不明となって7年が経過した場合、および災害などにより生死不明となって災害がやんで1年が経過した場合は、利害関係人の請求により「失踪宣告の申立」という手続をしなければなりません。同手続をしなければ、法律上亡くなったものとみなされず、相続手続も進めることができません。

  3. (3)「自分のために相続の開始を知った時」とは

    相続の開始を知るということは、

    • 自分が法律上相続人としての地位にあること
    • 相続する財産や債務があること


    を認識しているというが意味があります。

    通常は、被相続人が亡くなった時が「自分のために相続の開始を知った時」となるのですが、次のような場合には、は相続人側の事情によって個別に判断されることもあります。

    1. ① 疎遠な関係であったり、相続人が療養中であったりして被相続人が亡くなったことを知らなかった
    2. ② 相続の対象となる財産や借金の存在が後日明らかになった


    また、先順位の相続人の相続放棄によって、次順位の相続人に相続権が移ることがありますが、この場合は、先順位の相続人全員が相続放棄をしたことを知った時が「自分のために相続の開始を知った時」となります。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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