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会社を労基法違反で訴えたい! どうすればいい?

2022年06月13日
  • その他
  • 労基法違反
会社を労基法違反で訴えたい! どうすればいい?

大阪労働局が公表している令和2年度統計年報の中の、監督関係の統計資料によると、令和2年に労働基準監督署が定期監督などを実施した3320の事業所のうち、2272の事業所において労働基準法などの法令違反が判明しました。東大阪市を管轄する東大阪労働基準監督署管内では、395の事業所のうち289の事業所で違反が判明しました。

会社で働く労働者の権利については、労働基準法という法律によって守られています。労働基準法では、労働時間、休憩、休日、時間外労働などについて細かい規定があり、それに違反をした場合には、会社に対して罰則が適用されることになります。労働基準法に違反する行為があった場合には、労働基準監督署に申告をすることによって是正を図ることも可能です。

今回は、労働基準法に違反するケースと労働基準法違反があった場合、労働者としてはどう対処すべきかについて、ベリーベスト法律事務所 東大阪布施オフィスの弁護士が解説します。

1、労働基準法とは

  1. (1)労働基準法の概要

    労働基準法とは、会社と労働者との間の労働条件を規定する最も基本的な法律です。労働基準法を略して「労基法」と呼ぶこともあります。労働基準法は、労働者の保護を目的とした法律ですので、労働基準法で定める労働条件の基準は、最低限の基準となります。そのため、労働契約の当事者は、労働基準法で定める基準を上回るような労働条件を設定しなければならず、労働基準法の基準を下回る労働条件を定めた場合には、無効となり、労働基準法が適用されることになります。

    たとえば、労働契約において「1日10時間労働」との合意がなされた場合、前半部分は労働基準法32条2項の基準に達しないため無効となり、労働基準法が適用され「1日8時間労働」という労働条件になります。

    労働基準法は、罰則付きの法律ですので、労働基準法に違反した事業者に対しては、懲役または罰金という刑罰が科される場合があります。罰則の内容については、違反した内容によって異なりますので、以下で詳しく説明します。

  2. (2)労基法違反となる代表的なケース

    労基法違反になる代表的なケースとしては、以下のものが挙げられます。

    ① 法定労働時間を超えた労働
    労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間として規定し、原則として法定労働時間を超えた時間、労働者を働かせることができないとしています(労働基準法32条)。例外的に、36協定を締結し、それを届けていた場合には、月45時間、年360時間を限度として時間外労働を行うことができます(労働基準法36条)。

    36協定の締結・届出なく、労働者に対して法定労働時間を超えた労働をさせた場合には、使用者に対して、6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科されます(労働基準法119条1号)。

    ② 割増賃金の未払い
    労働者に時間外労働、深夜労働、休日労働をさせた場合には、所定の割増率によって計算をした割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条1項)。割増率は、時間外労働の場合が25%、深夜労働の場合が25%、休日労働の場合が35%となります。

    割増賃金の未払いがあった場合には、使用者に対して、6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科されます(労働基準法119条1号)

    ③ 性別や社会的身分による差別
    女性であるからという理由で男性との間で賃金に差を設けることや国籍、信条、社会的身分によって労働条件に関する差別をすることは、労働基準法によって禁止されています(労働基準法3条、4条)。

    このような差別があった場合には、使用者に対して、6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科されます(労働基準法119条1号)。

    ④ 有給休暇を取得させない
    入社から6か月を経過し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合には、労働者は有給休暇を取得することができます(労働基準法39条1項)。有給休暇は、仕事を休んだとしても賃金が減額されることのない休暇ですので、労働者が心身の疲労を回復して、ゆとりのある生活を送るための重要な権利であるといえます。

    有給休暇取得の要件を満たしているにもかかわらず、労働者に有給休暇を与えなかった場合には、使用者に対して、6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科されます(労働基準法119条1号)。

    ⑤ 休憩を与えない
    労働時間が8時間を超えた場合には1時間以上の休憩を、労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合には45分以上の休憩を与えなければなりません(労働基準法34条1項)。

    労働者に対して所定の休憩を与えなかった場合には、使用者に対して、6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科されます(労働基準法119条1号)。

    ⑥ 休日を与えない
    多くの会社では週休2日制がとられていますが、法律上は週1回以上の休日または4週を通じて4日以上の休日を与えなければならない、と定められています(労働基準法35条)。このような休日のことを「法定休日」といいます。

    労働者に対して法定休日を与えなかった場合には、使用者に対して、6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科されます(労働基準法119条1号)。

    ⑦ 労働条件を明示しない
    労働者は、労働契約を締結する際に使用者から労働条件を明示されなければ、どのような条件で働くのかを知ることができず、不当な労働条件で働かされていても気づくことができません。そのため、労働基準法では、使用者に対して労働契約締結時に労働条件の明示を義務付けています(労働基準法15条1項)。

    労働者に対して労働条件を明示しなかった場合には、使用者に対して、30万円以下の罰金が科されます(労働基準法120条1号)。

    ⑧ 強制労働
    暴行、脅迫、監禁などによって労働者の意思に反して働かせることは禁止されています(労働基準法5条)。このような強制労働をした場合には、使用者に対して、1年以上10年以下の懲役、または、20万円以上300万円以下の罰金になります(労働基準法117条)。

2、労働契約法、労働安全衛生法とは

労働者の権利を守る法律としては、労働基準法以外にも労働契約法や労働安全衛生法という法律があります。以下では、それぞれの法律の概要と法律違反となる代表的なケースについて説明していきましょう。

  1. (1)労働契約法

    労働契約法とは、会社と労働者との間で締結される労働契約に関する基本的なルールを定めた法律です。最低限の労働条件については、労働基準法によって規定されていますが、労働基準法では、会社と労働者との間で紛争が生じた場合の民事的ルールについての定めはありません。そこで、労働契約法は、労働契約に関する民事的なルールを体系的に定めることによって労使間の個別労働関係紛争の防止を目的としています。

    労働契約法では、労働契約の基本原則を定めるとともに、労働契約内容の変更、解雇、懲戒、出向の有効性を判断するための基本的なルールを定めています。

    労働契約法は、会社と労働者との私人間の契約関係を規律する法律ですので、労働契約法に違反をしたとしても会社に対して罰則が適用されることはありません。しかし、労働契約法に違反をした場合には、解雇などの処分が無効になることもありますし、労働者から会社に対して未払い賃金請求や損害賠償請求をすることができる場合もあります

  2. (2)労働安全衛生法

    労働安全衛生法とは、職場における労働者の健康と安全の確保、快適な職場環境形成を目的とした法律です。労働安全衛生に関する事項については、もともと労働基準法のなかに定められていましたが、高度経済成長期に多くの労災死亡事故が生じたことから労働安全衛生に対する意識が高まり、労働基準法から独立する形で定められたものがこの労働安全性衛生法です。

    労働安全衛生法に違反した場合には、違反内容に応じて使用者に対して懲役または罰金といった刑罰が科される可能性があります。なお、労働安全衛生法違反となる代表的なケースとしては、以下のものが挙げられます。

    ① 安全衛生教育実施違反
    事業者は、労働者を雇い入れたときには、業務に関する安全衛生教育を行わなければなりません(労働安全衛生法59条1項)。これに違反をした場合には、50万円以下の罰金が科されます。

    ② 無資格運転
    クレーンの運転などの一定の業務については、特定の資格を有する者でなければ行うことができません(労働安全衛生法61条1項)。これに違反をした場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

    ③ 労災報告義務違反
    労災が発生した場合には、使用者は、労働基準監督署に「労働者死傷病報告書」を提出しなければなりません(労働安全衛生法100条1項)。これに違反をして提出をしなかった場合または虚偽の内容で報告をした場合には、50万円以下の罰金が科されます。


3、労働基準監督署に訴えるには

ここまで労働者と企業にまつわる法律を解説してきましたが、実際に労働基準法違反などがあった場合、労働者は労働基準監督署に申告をすることができます。以下では、労働基準監督署への申告の流れについて説明します。

  1. (1)労働基準監督署への申告

    会社に労働基準法に違反する事実がある場合には、労働者は労働基準監督署に違反の事実を申告することができます(労働基準法104条1項)。たとえば、残業代不払い、違法な残業、有給休暇を取得できないなどの労基法違反があった場合には、事業所を管轄する労働基準監督署を直接訪問して相談・申告を行うことができるのです

  2. (2)労働基準監督官による調査

    労働者からの申告によって労基法違反の疑いがあると判断した場合には、事業所に立ち入り、労基法違反の有無を確認するために必要な調査が行われます。具体的には、労働関係帳簿の確認、事業主・責任者へのヒアリング、労働者へのヒアリングなどが行われます

  3. (3)是正勧告、指導

    労働基準監督官による調査の結果、労基法違反の事実が認められた場合には、是正勧告が行われます。また、労基法違反ではないものの、改善が必要と判断された場合には指導が行われます。

  4. (4)是正(改善)報告書の提出

    是正勧告や指導がなされた場合には、会社は期限までに違反内容を是正または改善して、是正(改善)報告書を提出しなければなりません。

  5. (5)司法処分

    会社が是正勧告を受けた法令違反を是正しない場合など、重大・悪質な労基法違反事案については、労働基準監督官が司法警察権限を行使して、送検をすることになります。このようなケースでは、使用者に対して、懲役または罰金といった刑罰が科されることになります。

4、弁護士に依頼するメリット

労働者は、労基法違反の事実がある場合には、労働基準監督署に申告をすることによって、違反内容の改善を図ることができます。しかし、労働基準監督署による是正勧告や指導には法的な強制力がありませんので、たとえば、未払いの残業代があったとしても支払いを命じることはできません。

そのため、労基法違反の内容によっては、会社と直接交渉をしなければ違反内容の改善を図ることができないものもあります。弁護士であれば、労働者に代わって直接会社と交渉をすることができますので、未払いの残業代などがある場合であっても回収に向けてしっかりとサポートすることができます。

また、労基法違反以外にも不当解雇などの労働契約法に関するトラブルについても弁護士が対応することができます。労働問題については、労働者個人では対応が難しいこともありますので、早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。

5、まとめ

労基法違反があった場合には、使用者に対して懲役や罰金といった刑罰が科されます。しかし、未払いの残業代などがある場合には、労働者が直接会社に対して請求していかなければなりません。会社と労働者では、圧倒的に労働者が不利な立場にありますので、有利に交渉を進めていくためには専門家である弁護士のサポートが不可欠となるでしょう。

労基法違反でお悩みの労働者の方は、ベリーベスト法律事務所 東大阪布施オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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